梅雨が近づくと、こんな不調が強まることはありませんか?
・いつもより息苦しく感じる
・頭が痛くて起きれない
・街中の空気がつらくて動けない
実はそれ、「気のせい」ではなくて、身体が危険をキャッチして、知らせてくれているサインかもしれません。
とくに化学物質過敏症(MCS)の方にとって、梅雨の時期は心と体に負担がかかりやすい時期。
普段はギリギリやり過ごせていた香りや湿気、空気のわずかな変化に身体が対応できないことも。
「なぜこんなにしんどいの?」
「どうして梅雨に限って悪化するの?」
カナリアンさんの視点で、その理由を整理してみました。
01|梅雨に体調が悪くなる理由は?
梅雨時期に化学物質過敏症(CS)の方が体調を崩しやすいのは、主に次のような要因が重なるためです。
☔ 1.湿気とカビの増加
梅雨の高湿度は、カビの繁殖にもってこいの環境。
浴室や洗濯機・エアコン、部屋の隅や押し入れの中に目に見えない胞子が発生しやすくなります。
体調を保つためにも湿度管理が非常に重要です。
✅カビによる症状
• 頭痛、倦怠感
• アトピーなど皮膚トラブルの悪化
• 神経症状(思考がぼやける・集中できない)
✅カビが繁殖しやすい環境条件
湿度:70%以上(特に80%以上で活発に増殖)
温度:20〜30℃(とくに25℃前後が好条件)
栄養源:ホコリ、皮脂、洗剤の残り、食品カスなど
☔ 2.洗剤・柔軟剤の香りが強まる
梅雨になると、「部屋干し用」「抗菌・消臭タイプ」の洗剤や柔軟剤を使う人が増えます。
さらに、生乾き臭を防ごうと、いつもより柔軟剤の使用量を増やす人も。
これらの製品には、清潔感を演出するために強い香料や、抗菌成分(VOCs)が含まれていることが多いです。
特に湿度の高い日は、においや化学物質が空気中に留まりやすく強く反応してしまう方も。
バスや電車などの密閉空間は要注意です。
「梅雨の通勤バスが一番つらかった。香りが車内にこもって、マスクをしていても防げなかった」
という声も、実際に寄せられています。
☔ 3.化学物質(VOCs)がこもりやすくなる
雨が続くと、どうしても窓を開けて換気する機会が減ってしまい、室内の空気がこもりがちになります。
その結果、以下のような揮発性有機化合物(VOCs)が部屋に滞留しやすくなります
• 新品のプラスチック製品のにおい
• 家具や床の塗装・接着剤の成分
• カーテンや布製品が吸った化学物質
• 隣室・隣家からの生活臭(柔軟剤、タバコなど)
少量でも体に影響するカナリアンさんにとって、
この「逃げ場のない空気」が非常に負担となってしまうのです。
☔ 4.気圧の変化と自律神経の乱れ
梅雨は、低気圧と高気圧が頻繁に入れ替わる時期。
この変化が、自律神経を大きく乱れさせます。
自律神経が乱れると、
• 呼吸が浅くなる
• 血流や代謝が落ちる
• 解毒・排出機能も低下する
体の「回復する力」が弱まってしまうのです。
☔ 5.食中毒対策による消毒剤の増加
梅雨から夏にかけて、湿気と気温の上昇により食中毒のリスクが高まります。
飲食店・公共施設・家庭など、さまざまな場所で以下のような消毒・除菌対策が強化されます。
• アルコールスプレーの使用頻度アップ
• 次亜塩素酸ナトリウムを使った拭き掃除
• 除菌ミスト・空間除菌製品の使用
• 調理器具の除菌・消毒
これらの揮発成分や残留化学物質が、空気中やテーブル・椅子・手すりなどに残り、大きな刺激となります。
食中毒対策としての消毒は大切な衛生管理ですが、使用される薬剤の種類や頻度が増えることで、カナリアンさんには負担になってしまうのです。
02|排出力の低下 = 化学物質が体に溜まりやすくなる
化学物質過敏症の方にとって、「体内に入れない工夫」と同じくらい大切なのが「出す力」。梅雨の時期は体内に取り込まれてしまった化学物質を排出しづらくなるという問題も起こりやすくなります。
体からの排出が悪くなる=体調も悪化しやすく回復速度も落ちることになります。
🌧 汗をかきにくくなる
梅雨は湿度が高いため、汗が蒸発しにくくなります。
体温調節がうまくできず、結果的に汗の量そのものが減ってしまうのです。
汗は、体内の老廃物や化学物質を排出する大切なルート。
発汗が減れば、それだけ化学物質が体にとどまりやすくなってしまいます。
🌧 体液循環が滞る
湿気や気圧の低下は、血流やリンパの流れを鈍らせる要因になります。
体内の巡りが悪くなると、化学物質を含む老廃物が排出されにくくなり、体に溜まっていく感覚が強くなります。
🌧 自律神経が乱れて代謝も落ちる
気圧の変化が激しい梅雨は、自律神経が乱れやすくなります。
肝臓や腎臓などの排毒・解毒機能も低下し、体の「出す力」全体が落ち込みます。
代謝機能の低下はダイレクトに体調の悪化につながってしまいます。
「梅雨だから」「季節のせい」「においに敏感すぎるのでは?」と片付けられがちなこの不調。
その不調は、体がちゃんと危険を察知して教えてくれている証拠です。
梅雨の変化しやすい季節を少しでも穏やかに過ごせるように、自分を整える工夫を見つけていきましょう。